「主の言葉がわたしに臨んだ。…『日々は長引くが、幻はすべて消えうせる』ということわざは、お前

たちにとって一体何か。…『わたしはこのことわざをやめさせる。…その日は近く、幻は…』」
(1-23)

 

    エゼキエル書 12 : 21 - 28 

 



 教師  武田 晨一 
月報巻頭言
泉北伝道所 月報 2020年2月

 大国の国際情勢の中で揺れ動くユダの国は、この世の力を頼り、異教の神々を取り入れて安住の地を求めました。その結果、

バビロニア帝国の統治下におかれて民族の独立を失い、精神的支柱を失います。こうして国家と神殿が崩壊して行く中で、神の召し

に応えて立ち上がったのが預言者エゼキエルです。そして彼は言います。「『日々は長引くが、幻はすべて消え失せる』…(とは)…

一体何か」と。この言葉はイスラエルの土地に流布していた諺の否定です。預言者エゼキエルは幻によって預言をしました。

その幻は、救いと自由の約束、また災いの日を予告するものでした。

 ユダの国は、大国との力関係の間の駆け引きに巧く渡り歩き、まがりなりにも危機を切り抜けていました。こうした醒めた現実主

義者には、預言者の予告など全く疑わしいものでした。彼らはただ、事態を見極めて賢く立ち回り、理想や建前にこだわらず、現実

に即応して事を処理して行けば、自ずとうまく行くと思っていました。ですから預言者の言葉などは「消えうせる」(22)ものに過ぎな

いと辛辣に嘲笑うだけだったのです。

 このことは、何時の時代も神の言葉が語られるところに起こることです。エゼキエルは嘲笑う一つ一つの言葉に反論せずに、ただ

確信をもって神の言を語ります。「わたしはこのことわざをやめさせる」(23節)と。神 自らが人間の思い上った知恵の愚かさを暴かれ、

また「その日は近く、幻はすべて実現する」(23節)と、国家存亡の危機は現実となり、歴史は動くと言います。預言者の語る神の言に、

今、決断をもって、身を乗り出して生きて行かなければなりません。神の言は、その人自身の実存的決断を要求します。この確信が、

私たちの人生を新しい軌道へと導きます。そして、人は全て究極的に、この預言者の語る神の言から逃れることが出来ないのです。

しかも、幻の実現する日は近いのです。

昨今、時代の風潮に何か不気味なものを感じます。ユダの国が崩壊したその根本原因は偶像礼拝です。私たちの偶像とは何でしょう

か。それは 私たちにとって安全で確かに見える合理的な現実主義です。これこそが 今の時代において 真の神を裏切る偶像となるの

です。偶像礼拝を捨てて、命の言・神の言に決断をもって聞き従がう新しい歩みを始めたいのです。


 










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