地ともろもろの王は立ち構え、…ともに、はかり、主とその油注がれた者とに逆らって言う。『われらは

彼らのかせをこわし、彼らのきずなを解き捨てるであろう』と。天に座する者は笑い、…」
( 口語訳 2-4節 
    詩 篇 2 : 1 - 12 

 



 教師  武田 晨一 
月報巻頭言
泉北伝道所 月報 2020年1月

 「天に座する者」とは神のことです。その神が笑うとはどういうことでしょうか。神の独り子イエス・キリストは 人間の現実を

憐れんで涙を流し、重荷を負って下さってこそ、現代人との繋がりあるのではないでしょうか。では何故「天に座する者が笑う」

のでしょうか。今、詩人はとても笑えない状況にいます。世の権力者・支配者が立ち構えて襲い掛かって来るからです。
 

 しかし、よく注意して下さい。立ち構えて襲い掛かって来るのは 「主とその油そそがれた者とに逆らって言う」(2節) とあり

ますように「主」と、「油注がれた者」に対してであります。「主」とは神のことです。「油注がれた者」とは原文ヘブル語はメシヤ

と書かれています。メシヤはギリシャ語に訳すとキリストです。つまり世の国々、世の人々が騒ぎたち、立ち構え、はかりごとを

巡らして権力抗争を行うのは、その根底に 神とキリストに逆らう思いがあるからです。神などあるものか、自分たちこそ正義であ

り力であると思う心が破局的な争いを生みます。それは、人間の知恵と力 人間の技術と政策こそ信頼できるものであり、全てであ

ると豪語する近代文明の姿であります。報復の争いを繰り返し、各々の国が自国の主権を貫こうとする、そこには果てしのない紛争

が続きます。このような破局の迫る中で笑うことはできません。では神がここで笑えるのはどうしてでしょうか。

その答えは詩篇37:13です。「主は悪しき者を笑われる」と言った後で、その理由を「彼に日の来るのを見るからである」と言って

います。「悪しき者」とは、「主と油そそがれた者に逆らう者」、即ち、神よりも人間の力に寄り頼む者のことです。そういう人の

「日の来るのを見る」とは、そういう人々の末路と死を見、彼らの運命と生の終りを、明晰に見通していると言うことです。ですから

詩人は神の笑いを語るのです。この神の知恵が、世界と歴史の確固たる秩序を見抜いています。そして 私たちはこの詩編をメシヤ

の詩篇としてイエス・キリストのご支配をここに読み取るのです。人間の知恵や権力が全てを支配しているかのように見える現実に

埋没してしまってはなりません。新しい神の創造の秩序に生きる信仰にこそ、喜びと笑いの根拠があります。そこに、この一年を

生き抜く神の力が与えられます。












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