「東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。学者たちはその星を見て
喜びに溢れた。家に入ってみると、幼子は母マリヤと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み……」

     マタイによる福音書2 : 1 – 16  

 



  教師  武田 晨一 
月報巻頭言
泉北伝道所 月報 2021年12月

 降誕物語の告げるメッセージの第一は、正しい方向性と大きな喜びを与えた星です。この星は原文では「彼の星」とあり、「ユダヤ人の

王としてお生まれになった方」
の星を表します。この星が「先に進み」、私たちの歩むべき方向を示してくれます。星は夜に輝きます。

私たちが暗い心になって、どうしてよいか分からなくなり、途方に暮れる時に光り輝いて、その行くべき道を示してくれます。それは、

ユダヤ人の王としてお生まれになったイエス・キリストを指し示していました。私たちは心の中で色々なことを自問自答し悩みます。

時には不安におののき、時には恨みやつらみが心に湧き起こります。

 しかし、そのような時こそ 先ず 第一に、全ての思いを捨てて星を見上げ、イエス・キリストを探し求めることです。その時、歩むべき

方向と、留まるべき所が明らかにされます。第二は、そこに不思議な、喜びが湧き起こって来ることです。言葉に尽くせない天使の歌声、

まさに天の扉が開かれたような神の栄光に照らされる喜びです。原文を直訳しますと、「そして 星を見て 彼らは ものすごく強烈な喜びを

喜んだ」
と、喜びとその喜びを表現する言葉が二重に使われています。聖書の告げるクリスマスの喜びは、人間がかつて経験することの

できなかった無限の喜びだったのです。

 ではこの喜びはどこから来たのか、それは「『見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。』その名は、

『神は我らと共におられる』と言う意味である」
と、神の永遠と、過ぎ去り消えて行く私たちの時とが一つになり、永遠の命に与かる

「インマヌエル」した出来事、『神は我らと共におられる』が創り出す喜びです。

 第三は、この喜びは礼拝によって与えられると言うことです。礼拝には常に神共にいます聖なる喜びがあります。東の方からやって来た

星占い師の学者達は、この星に導かれて喜びに溢れ、嬰児を拝し「ひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物と

して献げ」
ました。この宝の箱は、彼らの大切な商売道具だったのです。インマヌエルの喜びと礼拝は、彼らの宝に勝るものでした。


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