ヘロデが王の服を着けて座に着き、演説をすると、集まった人々は、「神の声だ。人間の
声ではない」と叫び続けた。するとたちまち、主の天使がヘロデを撃ち倒した、神に栄光を
帰さなかったからである。(使徒言行録12:21~23より)
神の言葉はますます栄え、拡がって行った。(同、12:24)
使徒言行録12章には、初代教会に対するヘロデ王(アグリッパ1世)による厳しい仕打ちがあったこと、ヨハネの兄弟ヤ
コブが剣で殺されたこと、そして、ペトロが投獄された後、主の天使によって救出されたことで、ヘロデ王は番兵たちに責
任を負わせて死刑にするよう命じたことが記されている。
そのヘロデ王は、テイルスとシドンの住民に対して、ひどく腹を立てていたようで、その理由は定かではないが、住民た
ちはヘロデ王との関係を改善するために、王の侍従であるブラストに取り入って、和解を願い出た、というのである。
ブラストとの交渉の結果、定められた日にヘロデ王と謁見する機会が与えられた。
歴史家ヨセフスによると、ヘロデ・アグリッパ王は、全部が銀で出来た織物の衣装をまとって入城したのですが、それは
明け方のことで、朝日の光がその衣に当たって、キラキラとまばゆいばかりに輝いたようである。これを見て、集まってい
た人々が「神の声だ。人間の声ではない」と叫び続けた、というのである。ここに住民たちの罪が如実に表われている。
これに対して、主の天使がヘロデを撃ち倒して、王は息絶えました。「神に栄光を帰さなかったからである」と述べて、
これが、神の裁きであったと理解している。
続けて、筆者は、一転して、教会の進展の様子を、神の言葉はますます栄え、拡がって行った、と記す。そこには、人間
の誤った企てをも超えて進められる神の救いの御業の確かさが強調されている。<神の言葉は決して繋がれることはない>と
のメッセージを聴くことが出来る。
また、その後には、バルナバとサウロが、教会から託された援助の品をエルサレムの教会へ届けたことが記されている。
ここには、神の栄光のために仕えるキリスト者の姿を見ることが出来る。
こうして、暗黒の世界の中に、主イエスの光が差し込み、神の栄光が現わされて行くことになる。神は今も、暗い世の中
に、福音の光を教会を通して輝かせておられる。 (5月4日の礼拝説教より)