「 神は言われた。『我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。』 …神は自分に

          かたどって人を創造された。…男と女とに創造された。神は彼らを祝福して言わ

 れた。『産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ』

   = 創世記1 : 27 - 28  =



2019年 1月
2013-2017年
月報巻頭言集
 教師  武田 晨一 
月報巻頭言
泉北伝道所 月報 2019年1月

 P.ティーリッヒは、「存在の無意味性が、後期資本主義時代の最も特徴的な現象だ」と言いました。お金さえあれば、

豊かにさえなれば人間は幸せになれると思って、人々は家庭も顧みず一心不乱に働いてきました。そしてバブルの崩壊を

経験し、失われた10年を経験して今、私たちは目標を失って虚脱状態の中にいます。自分自身の中に、これに命を賭けて

成し遂げたという、それだけの価値あるものがありません。苦労して平和と繁栄を楽しんだ、その結果が現代の行き詰ま

りと破滅です。

 さて、「産めよ、増えよ」と語られたのは、イスラエルが戦争に敗れ、国家が滅び、神殿が焼け落ちて体制が崩壊した時

です。その破局と荒廃の中で人間の尊厳は完全に否定されました。その悲惨な状況を聖書は「情け深い女たちでさえも、

手ずから自分の子供を煮て、それを食した」
(哀4:10、口語訳)と記しています。破滅と行き詰まり、この悲しい現実に、

人々は何の意欲も起こらず、無気力に身を委ねるしかない時代です。

こうした希望のない時代の只中に「神は言われた」と、神の声が力強く響き渡ったのです。文明崩壊の只中で、人間の存在

価値を語っているのです。それは神の2つの言葉に明らかです。その一つは「造ろう」です。この言葉「さあ! 造ろう!」

と、深い熟慮の末の神の言です。人間の命は自分のもの、自分の自由になるものではありません。人と比べて誇れるから

価値があるのではありません。人間の尊厳は、人間を存在にまで召して下さった深い神の御心とその決意によるものであり

ます。

もう一つは「祝福」です。祝福とは生命力のことです。神の祝福、泉のように湧き出る尽きることのない神の生命力によって、

人間は生み出され生かされたのです。祝福の反対は呪いと行き詰まりです。

更に「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ」の5つの動詞の命令形は、現状維持の命令ではなく、未来に向かって働く

力を示しています。人間に将来の希望を示す言葉です。祝福とは、大きな未来を開く生命力です。希望のない時代の只中で、

病める人間の世界に、聖書は今も人間存在の回復と希望を語っています。そして、この神の言こそが「肉となってわたしたちの

内に宿った」
(ヨハネ福音書1:14) イエス・キリストです。














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